英語の先生にとって、AIは敵なのか?
― 全国のAIに怯える英語の先生たちへ。私を含む(笑)
最近、AIの進化がものすごいですね。
英文を入れれば、一瞬で訳してくれる。
「もっと自然な英語にして」と言えば直してくれる。
文法の説明もしてくれる。
英作文もしてくれる。
練習問題まで作ってくれる。
英語の先生としては、
「……これ、私たち大丈夫?」
と思わなくもありません(笑)。
「AIがあれば、もう英語なんて勉強しなくてもいい」
そんな意見も、これからますます増えていくと思います。
では本当に、AIがあれば英語力はいらなくなるのでしょうか。
私は最近、少し違うような気がしています。
むしろ、
英語の先生にこそ、AIが必要なんじゃないか。
そんなことを考えるようになりました。
電卓ができても、数学はなくならなかった
少し昔の話を考えてみます。
電卓が普及したとき、人間は面倒な計算を自分でしなくてもよくなりました。
足し算も掛け算も、ボタンを押せば一瞬です。
では、
電卓があるから、数学を勉強する必要はなくなったのか?
というと、そうはなりませんでした。
むしろ面倒な計算を機械に任せることで、人間はその先のことを考えられるようになりました。
そして、もう一つ大切なのが、
電卓が出した答えが明らかにおかしければ、それに気づく力が必要
ということです。
12×8を計算して「960」と出てきたら、
「いやいや(笑)」
と思える。
それは、自分の中にある程度の知識があるからです。
AIも、これに少し似ている気がします。
インターネットができても、勉強はなくならなかった
インターネットも同じです。
昔なら図書館へ行って本を探さなければ分からなかったことが、今では数秒で検索できます。
世界中の情報にアクセスできます。
考えてみれば、とんでもない発明です。
でも、
「Googleで検索できるから、もう勉強しなくていいよね」
とはなりませんでした。
(「これでもう勉強しなくてOKだぜ。ヒャッハー」となったら良かったのに、と一瞬思ったことは・・・
正直に言うとあります。)
ゴホゴホ。
むしろ情報が増えたからこそ、
何を調べるのか。
どの情報を信用するのか。
書いてあることをどう理解するのか。
そして、それをどう使うのか。
そういった力が必要になりました。
情報を手に入れられることと、その情報を使いこなせることは別なんですよね。
AIにも、同じことが言えるのではないでしょうか。
AIが答えてくれた。だから「分かった」?
英語学習でも、AIはものすごく便利です。
分からない英文を入れて、
「訳して」
とお願いすれば、一瞬で訳してくれます。
さらに、
「この文の文法を説明して」
「もっと簡単に説明して」
とお願いすれば、いくらでも説明してくれます。
すごい時代です。
ただ、ここで少し注意したいことがあります。
AIが分かったことと、自分が分かったことは別です。
AIが英文を訳せたからといって、自分がその英文を読めるようになったわけではありません。
AIが文法を説明してくれたからといって、次に同じ仕組みの英文が出てきたとき、自分で読み解けるとは限りません。
これは英語を教えていると、とても大切な違いだと感じます。
では、英語の先生は必要なくなるのか?
ここは私自身も気になるところです(笑)。
正直なところ、
「答えを知っていること」だけが先生の価値なら、かなり厳しい時代になる
と思っています。
単語の意味を教える。
英文を訳す。
文法用語を説明する。
例文を作る。
こうしたことの多くは、すでにAIがかなり上手にやってくれます。
しかも速い。
疲れない。
夜中の2時でも質問に答えてくれる(笑)。
これは人間にはなかなか勝てません。
でも、先生の仕事って「答えを教えること」だけだろうか?
私は、そうではないと思っています。
この人は、なぜここでつまずいているのか。
今、この文法を教えるべきなのか。
それとも先に別のことを理解した方がいいのか。
この問題を10問やるべきなのか。
それとも、今は1問をじっくり考えた方がいいのか。
何を教えて、何をまだ教えないのか。
そして、
どういう順番で学べば、最後には一人でできるようになるのか。
ここを考えることも、先生の仕事です。
AIがものすごい量の情報を出してくれる時代だからこそ、
「何を、どの順番で、どう使うのか」
を考える力は、むしろ重要になるのかもしれません。
だから、英語の先生にこそAIが必要なのでは?
そして最近、私は逆のことを考えるようになりました。
AIによって英語の先生がいらなくなるというより、
英語の先生にこそ、AIが必要なんじゃないか。
AIを使えば、例文をたくさん作れます。
練習問題のアイデアも出してくれます。
同じ文法項目を使った別の英文も作れます。
説明の仕方について意見を聞くこともできます。
自分では思いつかなかった視点を出してくれることもあります。
ただし、出てきたものをそのまま使うのではありません。
「これは使える」
「これはちょっと違う」
「この説明では生徒さんには分かりにくい」
「この問題は成立していない」
そうやって判断する。
その判断をするためには、やはり先生自身の専門知識が必要です。
もしかするとAIは、
知識のある人ほど、便利に使える道具
なのかもしれません。
全国のAIに怯える英語の先生たちへ(笑)
もちろん、私も含みます。
これからAIがどこまで進化するのかは分かりません。
5年後には、
「2026年にはこんなことを言っていたのか(笑)」
となっている可能性もあります。
ただ、少なくとも今の私は、
AIと競争する必要はないのではないかと思っています。
電卓が計算してくれるなら、計算してもらえばいい。
インターネットが情報を探してくれるなら、探してもらえばいい。
そして、
AIにできることは、AIにやってもらえばいい。
その分、先生は、
生徒さんがどこでつまずいているのかを見たり、
どう説明すれば「なるほど!」に変わるのかを考えたり、
一人でもできるようになるまでの道筋を作ったりする。
そんなことに、もっと時間を使えるのではないでしょうか。
便利な道具が登場したからといって、人間の力が必要なくなるとは限りません。
むしろ、
便利な道具を使って、人間ができることを増やしていく。
それが、これまでの発明の歴史だったようにも思います。
だから今のところ、
「AIは英語の先生の敵なの?」
と聞かれたら、私はこう答えます。
たぶん、逆です。
英語の先生にこそ、AIは必要なんじゃないでしょうか(笑)。

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